不妊専門鍼灸院 銀のすずは
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東洋医学の日本伝来


実に歴史はおもしろい。
私は30歳過ぎに大学に通い、勉強をし直したくらいおもしろい。
興味のある方は一度、歴史を紐解いてみてはいかがでしょうか?

西洋医学と比較される東洋医学とはなんでしょうか?
・中国伝統医学
・韓医学
・漢方医学
・アーユルベーダ
・ユナニ医学
などのアジア一帯に広がる医学の総称です。

その中でも私たちの馴染みがあるのは、中国伝統医学と漢方医学かと。
この二つを紹介します。

●中国伝統医学
歴史的には数千年前には存在していたとても古い歴史がある医学です。
かの有名な三国志の英雄『曹操』に仕えていた医師は『華佗』といい、現在でもその名が知られています。
中国後漢末期の薬学・鍼灸に非凡な才能を持つ伝説的な医師です。
麻酔を最初に発明したと言われており、麻沸散という麻酔薬を使った開腹手術をしたといいます。

中医学、周期療法、鍼灸治療

中国伝統医学という名前こそ最近のもので、中国は大きいので各地で発達した文化は違っていました。
海に近いところ、山深いところ、平地、乾燥している地域など、土地や気候など様々でした。
住環境の違いがあるので、そこで発生する病気も違いがありました。
その環境の違いから、針、灸、方剤、導引・気功が発達しました。
これらを終結したものが中国伝統医学です。

中国伝統医学で礎になった書物といえば、「神農本草経」、「黄帝内経」、「傷寒論」、「金匱要略」です。

神農本草経は一つ一つの生薬の性質について書かれているもので、上品、中品、下品の3種類に分けれらています。
この書物は神農という三皇五帝の一人で、人々に医療と農耕の術を教えたといいます(伝説)。
とりあえず、口にして毒か薬かを区別するために 何度も何度も倒れ、死を垣間見たとたそうです。
神農、東洋医学、不妊、針灸

黄帝内経は黄帝と呼ばれる三皇五帝の一人で、現存する中国最古の医学書を書き記したとされています。
この書籍は、中国伝統医学の基本理論である陰陽論、五行論、易学、天文学などが人の成り立ち、健康とは、病気の成り立ちなどが書かれています。
黄帝内経こそが、中国伝統医学の根底にあるものです。
黄帝、陰陽、五行、針灸

続いて傷寒論、金匱要略は張仲景が書き記した書物です。
かの有名な葛根湯の処方が書かれた本ですね。
この2種の本は、病気に対してどの薬が効いたかという処方集でした。
なので、難しい理論を知らずとも、一般市民まで広く利用することができた書物です。
葛根湯、傷寒論、金匱要略

その後、多くの医学者が技術と理論を構築し、長い年月をかけて、構築された中国伝統医学は今なお、世界中で利用されています。

●漢方医学
約700年ごろ、中国より遣隋使、遣唐使がやってきました。
その時の中国より仏教の書籍とともに医学書も運び込まれました。
これが日本における中国伝統医学の伝来でした。
ただ、この時運び込まれた書物は傷寒論と金匱要略であったといわれています。
つまりハウツー本ですので、「理論なき実践」ということです。

難しいことを抜きにして、風邪ひいたら葛根湯を飲んでおけよ!!!という感じでしょうか?
なので、中国伝統医学と漢方医学は同じようで同じではなく、その後独特な日本風に仕上がり、現在に至ります。

現状、日本の場合、エキス剤になっているものが主流で、中国では煎じ薬が主流です。
また、取り扱っている生薬も中国は数千、日本では500種類ほどとか。
扱っている方剤名が同じでも、中身はちょっと違うこともあるでしょうね・・・。
針灸に関しても、腰痛=腎ゆというようにハウツーが存在します。

どちらが優れているかは、いろいろな考えがあるので正解はありません。
人の数だけ病があると考える中国漢方医学と、次第に日本の漢方医学(和漢方)に違いが生まれてきました。
江戸時代までは漢方医学が日本のメインの医学でしたが、欧米の力が入ってくる明治には「蘭学」を日本の医学にしようと政府が資格制度を作りました。

これで、表舞台から漢方医学が消えました。

突然のことで、今まで漢方医学をしていた医者は医者ではなくなり、きっとビックリしたことでしょう。

実は毛沢東の時代にも同じことが中国でもあったそうです。

その後、中国伝統医学は世界に誇れるものだということで、国を挙げて世界に発信することになりました。

中国では、中国伝統医学を行うものを中医師といい、病院の医療を行うものを医師の2つで対応しています。

歴史的に日本では、生薬方を用いる医師と鍼灸を用いる鍼灸医は、早い時代から分業化していたことが知られているが、分業が決定的になったのは江戸時代の盲人政策によるという。
幕府の政策として「按摩」を盲人の専業として規定したところから、手技が連続する鍼灸も時を経ずして盲人の職業となっていった。
これにより、日本においては、一般的な生薬を用いる医師(漢方医)と、盲人による鍼を用いる医師(鍼医)が医療の担い手となったという歴史的背景があります。
これが・・・日本で鍼灸が発展しなかった理由ではないかという意見があります。

日本では、漢方薬を扱う薬剤師、針灸を行うものを鍼灸師、薬膳は調理師や栄養士、気功は気功師に分類され、現在に至ります。
そして現在の日本では、漢方薬、針灸の両方を取り扱うことができるのは医師のみです。
こうして数千年の歴史のある中国から伝来した中国伝統医学は現在に至ります。

果たしてこれからの時代、医療はどの方向に進んでいき、私たちの生き方はどうなっていくのでしょう!!!
寿命は延びていますが、健康寿命は伸び悩んでいます。
結局、長生きしても病気を患っていては幸せな人生とは言えないかもしれません。
予防の概念が多い東洋医学と病気の概念の西洋医学が上手にかみ合うことを期待しています。
ウイキペディアに比較的おもしろく書かれているので参考にしてみてください。
ウイキペディア